コンクリート調査
鉄筋の配筋・かぶり厚さ・各種配管探査
ハンディタイプのレーダ探査機から発せられる電磁波レーダ波をコンクリートに向けて放射しながらアンテナを移動させ、不純物の探査を行います。
電磁波レーダ波を照射されたコンクリートは電磁波をあまり反射させない性質を持ちますが、コンクリート内部に埋設されている金属等の埋設物は、多くの電磁波を反射させます。
この反射された電磁波を画像処理によって解析することで、埋設物の形状や大きさ、種類が判定できます。
ハンディタイプのレーダ探査機を使用することで、大型のレーダ探査機やX線探査機その他の手法を選択する場合と比べ、以下のような特徴があります。
- 広範囲の探査で高効率の探査が可能
- 短時間で埋設物の全体像を把握することが可能
- 埋設物の深度を測定することが可能
- 両面からの埋設物探査によりコンクリートの厚さが約400mmのものまで探査が可能
- その場で判定でき、作業基準点の作成が可能(ただし解析に時間を要する)
- 穴明け予定位置を変更する際に、位置の選定が短時間で可能
- 適用方法により、運用コストが割安となる(広範囲の鉄筋探査等)
上記の特徴により、事前調査としてコンクリート内部の配筋状況把握のために用いられます。
コア抜きによる各種試験
コンクリート内外の現状を把握するため、コンクリート内部から直径Φ100㎜のサンプル(コア)を切り出します。
コア採取箇所には事前にレーダー探査を行い、コンクリート内部の鉄筋の配置を確認、切り出し箇所の選定を行います。
内部鉄筋に注意しつつ、選定した切り出し箇所からコアドリルでコアを採取します。
採取したコアは検査機関に送られ、圧縮強度/静弾性係数試験、アルカリシリカ反応試験、塩化物イオン試験、中性化深さ試験、配合推定、膨張率試験等、各種試験によりコンクリートの状態を詳査します。
中性化深さ試験については現地で調査するか、あるいは詳細な調査が必要な場合は当社へ持ち帰り試験を行います。
当社はソフトコアリング協会に加盟しており、従来の直径Φ100㎜のコアと同等な精度で測定可能な小経口のコア採取も行っております。
小経口コア(ソフトコア)のメリットとして、主要構造部材から採取しても耐力上問題となる可能性が少ない、過密な配筋状況でも鉄筋切断の可能性が少ない、採取が容易で採取後の補修が容易、長いコアを採取すれば深さ方向の品質分布調査が可能等が挙げられます。
このソフトコアを用いて、圧縮強度・塩化物イオン試験・中性化深さ測定が可能です。
はつり調査
事前にレーダ探査による配筋状況を確認します。
場所の選定が完了したら選定箇所であるコンクリート表面をはつり機を使用して削り、表層近くにある鉄筋を露出させます。
露出した鉄筋を目視調査することで、コンクリート内鉄筋の腐食状況を調査するとともに、鉄筋径の計測や中性化試験を行います。
鉄筋径の計測はノギス行い、鉄筋径の計測と同時にかぶり深さも測定します。
コンクリートの施工状況や劣化、鉄筋の状況把握は、今後の修繕方法の検討に役立つ資料となります。
その他強度試験(非破壊・微破壊)
コンクリート強度の計測はコアの採取による圧縮強度試験が一般的ですが、非破壊による方法の一つとしてテストハンマー、通称シュミットハンマーを用いた強度試験や、超音波機器を用いた衝撃弾性波試験等があります。
非破壊による試験のため、対象となる構造物を傷つけずにコンクリート強度を推定することが可能です。
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シュミットハンマーによるコンクリート強度の推定
コンクリートからコアを採取することが困難だと判断された場合、いくつかの代替策の一つにシュミットハンマーでの調査があります。
シュミットハンマーの反発度とコンクリート強度の関係は、多くの前例からその間に正の相関関係があることが証明されています。
圧縮強度を推定する上で影響する因子が多く、それらを加味した上で複数回の試験を行います。
得られた測定値を元に、推定式にあてはめ概算強度を算出します。
これによりコンクリートの強度を簡易的に調査することが可能です。 -
衝撃弾性波によるコンクリート強度試験
コンクリート中を伝搬する衝撃弾性波の速度と圧縮強度には正の相関関係があると言われており、対象をハンマーで打撃してコンクリート内部を伝搬する弾性波(反響波)の速度を補強器で受信、測定することでコンクリートの圧縮強度を推定します。
同じ機材を用いて、超音波によるコンクリート内部の空隙、厚さ、ひび割れの深さ、ジャンカ、剥離の検出も可能です。
外観調査・打診調査
目視による調査が可能な範囲において、コンクリートやタイル、モルタル等の外壁に対し目視観察や打診調査を行い、ひび割れ、剥離、コンクリート内部の鉄筋露出等の劣化や損傷状況を図面に記録するとともに、著しい損傷および代表的な損傷箇所を記録写真として整理し、外壁の現状を把握することで、今後の方針を考えるための基本的な情報を提供します。
Jシステム
Jシステムとは、貼付型熱環境測定装置・調査支援モニター・損傷判定支援ソフトの3つで構成されており、余寿命の評価が効率的かつ的確に調査できると評され、国内外で広く使用されているコンクリート構造物の損傷調査技術です。
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貼付型熱環境測定装置
赤外線での調査を開始する前段階として、対象となる構造物に貼付型熱環境測定装置、通称EM(S)装置を固定し、熱交換による疑似損傷を再現します。
EM(S)装置で得られたデータを基に日射時間に伴う温度変化を把握し、赤外線調査に最適な時間を割り出すことが可能となります。 -
調査支援モニター
赤外線カメラに接続し、現場でリアルタイムに損傷状態を確認します。
来の赤外線熱画像に加え、温度ムラを強調して表示、損傷をグレード分けし表示、損傷予想を表示等の機能が追加されており、従来の赤外線熱画像では特定できなかった詳細な損傷状態の確認が可能となります。 -
損傷判定支援ソフト
赤外線で撮影した画像を自動解析し、3段階で損傷のレベル分けを行います。
ソフトを用いることにより、主観的な解析に頼っていた従来までと比べて客観的な解析が可能となり、判定の個人差や見落としが解消されます。
Jソフトの解析結果を基準に打音箇所を限定させ、効率的な点検を行うことができます。